名著『黒部の山賊』。
登山をしていると、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
北アルプスを歩く人、山が好きな人の間で“バイブル”のように語られ続ける一冊です。
初めて読んだとき、私は伊藤新道を歩く前でした。それでも「山を歩く価値観が変わる本だ」と強く感じました。そして、伊藤新道を歩いた後に再読し黒部の山賊の面白さを再確認しました。
黒部を深く知るためにも、登山者として自然と向き合う姿勢を考える意味でも、絶対に読んでおくべき作品です。
本記事では、
『黒部の山賊』とはどういう本? 読んで感じた魅力 印象に残ったエピソード どんな人におすすめ?
という内容でレビューしていきます。
■『黒部の山賊』とは?
著者:伊藤正一
黒部川源流域、祖母谷〜仙人谷〜阿曽原などの“黒部の奥地”で長年生活した人物です。三俣山荘を作り上げ、伊藤新道の道を開拓した人物でもあります。伊藤新道の“伊藤”はこの方の名前からきています。ちなみに、今の三俣山荘のオーナーは息子さんの伊藤圭氏。
1970年代に出版されて以来、50年以上読み継がれるロングセラー。
山岳本でここまで広く知られている本は珍しいです。
内容は、黒部に暮らした伊藤正一氏と家族の生活を中心に、
山の厳しさ 山小屋の仕事 狩猟 雪崩・天候との戦い 昔の登山者たちの姿 電源開発の裏側
など、「黒部という世界」をありのまま伝えるノンフィクション作品です。
タイトルだけ見ると“ワイルドな話”が中心かと思いきや、
実際は 自然と共に生きる人間の物語 という奥深い内容になっています。
■読んで感じた『黒部の山賊』の魅力
① 山の暮らしのリアルさが圧倒的
現代では考えられないような、黒部での自給自足の生活。
薪を割り、熊を仕留め、冬を越す。
自然と向き合う「生の強さ」に心を揺さぶられます。
② 山小屋文化の原点が見える
今の山小屋とは違い、生活そのものが山に飲み込まれているような環境。
登山者と山小屋の関係も生々しく、歴史的な価値があります。
③ 登山スタイルが変わるほどの“自然観”
特に印象的なのは、自然に対する姿勢。
黒部のような厳しい自然の中では、人間の力などいかに小さいか。
その感覚が強烈に伝わります。
登山に対する慎重さ、謙虚さを改めて感じさせられる本です。
■印象に残ったエピソード(ネタバレなし)
ここでは“内容をバラさない範囲”で、強く印象に残った部分を軽く紹介します。
● 山賊料理(熊鍋・スパゲティ)
山での豪快な料理は、読んでいてワクワクします。
特にスパゲティの話は有名で、「こんな食べ方あるんだ…!」と衝撃的。
● 黒部の冬の恐ろしさ
雪崩と隣り合わせの生活。
読んでいるだけで緊張するほどリアルです。
● 遭難しかける登山者の話
「昔の登山は本当に命がけだった」と実感します。
山小屋の人たちがどれだけ大変な思いをしていたかがよく分かります。
● 電源開発の裏側
黒部・黒四ダムなど、北アルプスに刻まれた歴史の背景が垣間見える内容もあり、
登山者として知っておきたい部分です。
■こんな人におすすめ
山が好きな人 北アルプス・黒部源流を歩く予定のある人 山小屋文化に興味がある人 昔の登山のリアルを知りたい人 山岳文学・紀行文が好きな人 登山者の価値観を深めたい人
特に、黒部源流(雲ノ平・黒部五郎・薬師沢周辺)に行く人は必読だと思っています。
■どこで買える?
■まとめ:黒部を歩くなら、一度は読むべき一冊
『黒部の山賊』はただの山の本ではなく、
自然と生きるということ、人としての強さとは何か を考えさせてくれる作品です。
時代が変わっても失われない“山の本質”が詰まった一冊。
登山が好きな人であれば、必ず心に残ると思います。
黒部を歩く前にも、歩いた後にも読む価値がある。
そんな永遠の名著です。

